染付座(下絵付)の風景 (2012年6月30日)
絵付作業に集中する職人の緊張感が漂う仕事場。
職人は皆、窓の方に向かい座して描く。椅子ではなく座することで、一つの姿勢で大物も小物も作業が出来る。昔ながらの作業風景である。
主に酸化コバルト等で調合した絵具は濃いめに作り、筆先に水を加え絵具の濃さの調整を行う。
職人はそれぞれが弾力性、軸の太さを選んで自分に合った筆で描く。
下絵の線描きを終えた線の中を塗る作業を有田では濃み(ダミ)という。江戸期から分担作業にて、男性が線描き、女性が濃みを行う。
その筆は特徴的であり、鹿の尾の根元辺りの擦れていない毛で作られている。濃み筆の使用方法は、スポイトのように絵具を吸い、絞り出しながら塗り、余った絵具は手の力を緩めれば吸い取ってくれる。
仲だち紙。同じ文様を何枚も描くときの江戸期より使われてきた技法である。
器物の形通りに和紙にて作り、内側に膠が含まれていない墨で描き、素焼きに当て、滑りの良い椿の葉にて擦り、文様を写し取る。その後、この文様の上を呉須で線描きする。