黄釉の発色の美しい皿である。釉薬の中の2%程の鉄分の含有により青磁の発色、10%程の鉄分の含有により銹釉の発色をするといわれている。この黄釉も銹釉の一種で、数%の鉄分等により発色するものと思われるが、釉薬の薄い部分が茶褐色に発色している。全体に子孫繁栄の吉祥文様の柘榴と縄のような文様が陽刻により表現され、黄釉の美しい、深い釉調と相俟って、優品に仕上がっている。 (文・14代今泉今右衛門)