手前の丸くへこんだ部分を首に押し当て、髭を剃るための専用の皿といわれている。当時東インド貿易会社の注文により、形状、絵柄など細かく指示を受け、有田の陶工が造ったと思われるが、この形状もそのような指示によるものと思われる。また、当時ヨーロッパの医学で行われていた血を抜く瀉血のための用途という説もあり定かでない。皿の上部の二つの穴は、紐などを使い壁にかけていたものと思われ、数年前のアムステルダムの発掘で穴に紐がついたものが見つかっている。 (文・14代今泉今右衛門)