十三代今右衛門は若い頃前衛的な制作をしていたが、40歳頃から、伝統的な仕事の中で現代の色鍋島を追求していく作風へと変化する。特に、十三代は江戸期の色鍋島の文様の中でも、色絵房文皿(七寸皿)の円周上に周る現代的な、力強い構図に興味をひかれたようである。若い頃は麦、かるかや、すすき、露草を、十三代襲名後も紫蘭、玉すだれ、草花文、珠樹文など、生涯を通してこの構図を基として作品を造り続けている。 この作品も40歳代前半の作品であり、試行錯誤の中で創り上げたものと思える。 (文・14代今泉今右衛門)