すすきは、十三代今右衛門が若い頃から好んだモチーフである。有田から唐津に向かう途中、北波多村あたりの川原ですすきが群生しているところがある。秋に、そのあたりを通るたびに、夕日に黄金色に輝くすすきに心を奪われたとよく聞かされたものである。 すすきの穂と葉は、すべて墨はじきの技法により描かれ、葉には上絵で緑が施され、赤の色彩を使わず、すっきりとした文様として仕上がっている。 (文・14代今泉今右衛門)