瓔珞とは、古代インドの貴族が珠玉や様々な貴金属を編んで、頭や首、胸などに掛けた装身具である。その華やかさや意味合いから、吉祥文様として古くから扱われ、中国・明期の赤絵や、それを基にして造られたと思われる元禄期の古伊万里の型物の鉢などに多く描かれている。 十三代今右衛門は、それらの古伊万里の鉢の文様を基に鍋島らしく文様化し、四角のお水指の形に描いたものである。この文様は昭和57年頃白磁の生地で制作している。その作品が良く出来たため、年月を経、平成2年、薄墨の作品として再度手掛けた文様であり、十三代としては珍しい試みである。 (文・14代今泉今右衛門)