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古陶磁コラム  
2006年3月

色絵桃宝尽し文皿

鍋島様式・17世紀後期
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今回の色絵桃宝尽し文皿については、平成9年、財団法人今右衛門古陶磁美術館の開館記念「鍋島名品展」のポスターにも使いましたが、その紹介として、陶説(533号、1997,8)に13代今右衛門が論説を寄稿していますので、その文章から抜粋します。

 この皿は戦前より七寸皿の中では名品として残っているものである。父(12代)の話によると、昭和の初め佐賀の骨董屋に出た。当時並みの色鍋島の七寸皿が100円前後の頃、300円であったとのこと。大分使ったあとがあるので骨董屋に聞くと、持主は「前にも何枚かあったが、普段つかいに使っているうちに割れたので家の前の堀に捨てた」とのこと。それではということで人夫を雇って、堀をさらえ探したが見つからなかったという話である。当時、佐賀の民家では家に残っているものを、良し悪しの区別なく使っていたことと思う。この皿も使ったあとがあるので赤の絵具のすり切れが目立っている…。
また、この皿の上部には修理の跡がある。以前、撮影に来られた方が皿の真上から撮影をし、レンズを落としてしまい、破損したという。12代は烈火のごとく怒ったと聞く。その業界ではいまだに有名な話だそうである。

(文・14代今泉今右衛門)


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