色鍋島の大きな特徴である”斬新な意匠”を感じさせる向付である。この向付を色鍋島の中で最も好きな作品に挙げる人は多い。十年程前、福岡にコンランショップがオープンした際、コンラン卿がこの(財)今右衛門古陶磁美術館にも足を運ばれた。その時、担当の方からは、「コンラン卿は勝手に見学されるので説明は不要です」とのことであったが、大まかな歴史と見所を簡単に説明すると、色鍋島の意匠を大変気に入られ、特にこの瑠璃釉芥子文向付に対しては「最高にすばらしい」と指差しながら大変喜ばれていたのを思い出す。
今月9月6日からは、秋季特別企画展として、「鍋島・古伊万里 掌の逸品展」を開催する。この作品も確かに、掌(たなごころ)感の良い作品である。
(文・14代今泉今右衛門)
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