見込みの市松文様、そして周りの雲文様。共に墨はじきの技法が駆使された涼しげな発色である。また、鍋島では大変珍しい三つ足になっており、貴重な作品である。この皿は元々、銘銘皿の箱に入って所蔵されていた。常に一番上のこの皿を目にしていたが、あるとき中を確認してみると、四枚しか入っておらず、そしてその内の一枚は三つ足の同型の別の絵柄の染付の皿であって、父に聞いても「それは知らなかった」と言う。良かったのかどうか、どのような経緯で手に入ったものかは定かではないが、大変珍しい五寸の三つ足の皿を二種同時に展示することが出来、私は良かったと思っている。
(文・14代今泉今右衛門)
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