何の変哲のないほのぼのとした初期伊万里の青磁の皿であるが、実は、私が初めて自分で購入した古陶器である。有田へ戻ってきた頃の陶器市だったと思うが、有田のある骨董屋さんというより古道具屋さんの薄暗い中で、それも、何から何まであるような雑然とした中で見つけた皿である。当時、ニ万円程したと思うが、青磁の雰囲気が何ともいえず、初めての経験であり、勇気を持って購入したことを覚える。
しかし、人に見せると、あまりに変哲のない皿であるので、あまり褒められもせず、けなされもせず寂しい思いもしたが、自分自身はすごく気に入った嬉しい皿である。やはり、身銭を切ったものには愛着があり、自分には他のものよりも良く見える。
今回、久しぶりに手にとって見たが、やはり、ほのぼのとして嬉しい皿である。
(文・14代今泉今右衛門)
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