松と竹と梅を、縦と横のラインを意識して配したと思えるような意匠の高台皿である。裏文様などから、最盛期の後半に制作されたものと思える。しかし、父・十三代今右衛門から聞く話によると、この高台皿が市場に出たときは、染付、色絵の発色がすばらしすぎたため、江戸期のものとは思われず、現代の模倣品との疑いがかけられていたという。そのお陰で、価格もそう高くなく、通常の色鍋島の七寸皿の五分の一ほどの価格で購入できたと聞いている。松竹梅を描いた鍋島の七寸皿の中でも最も鍋島らしく、発色も美しいため、毎年、新年のこの時期美術館に展示し、観覧者に喜んでもらっている。
(文・14代今泉今右衛門)
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