鍋島の文様の構成力が感じられるエキゾチックな意匠の高台皿である。この皿は、京都の古美術商の方が11枚持参して有田に来られたという。父・十三代今右衛門に鑑定をしてほしかったらしく、父が「間違いなく鍋島です。それも初期鍋島の珍しい優品ですよ」と答えると、大変喜ばれたそうで、そして父が「鑑定料はいらないけど、十一枚あってもしかたがないでしょうから、一点わけていただけないか」と聞くと、それでは鑑定料の代わりとして一枚一万円でおわけしましょう」と言って一枚わけてもらえたという。昭和の40年頃の話と思われるが、晩年、大変安くわけてもらえたとにこにこして喜びながら話していた父の顔を思い出す作品である。
(文・14代今泉今右衛門)
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