十四代今泉今右衛門を襲名いたし十数年。
襲名そして重要無形文化財保持者の認定と、そのつど次の一歩、次の一歩と足を踏み出すことが出来ましたのも、皆様方からの温かいご激励とご厚情のお陰と感謝いたしております。
今泉今右衛門家は、江戸期は鍋島藩の御用赤絵師として、明治以降は藩の保護がなくなるものの、それぞれの時代を乗り越えながらも、色鍋島の技術・品格・格調を継承することを信念として、代々、それぞれの時代に挑み続けてきました。
伝統は生きて流れているものです。
現在、十四代今右衛門として、有田400年の職人の分業の仕事の継承に感謝しつつ、現代の色鍋島をいかに創出できるかという大きな目標に立ち向かっています。
技法としては、白抜きの「墨はじき」の仕事をさらに進化させ、
父・十三代が確立した吹墨・薄墨や緑地をいかに取り入れることが出来るか、
そして白の微妙な雰囲気の「雪花墨はじき」や、周りの光を取り込む新しい上絵「プラチナ彩」への挑戦など。
日々、制作を重ねるなかで、また人との関わりのなかで見いだされる新たな美意識の発見に喜び、そして小さなことにも心を動かす感受性や目に見えにくい陰影・細部にも神経と手間を惜しまない感覚を大切に制作に取り組んでいます。
これからも長い年月をかけて、十四代としての現代の美意識を追求していく覚悟です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。