コラム

2009年06月 白磁花器  鈴木治作
白磁花器  鈴木治作

京都で師事した鈴木治先生の作品である。三年程前、先生のお墓参りの後、新門前町を散策していたときに購入したものである。
京都にいた頃の話である。先生が信楽で穴窯を焼かれたとき、ご一緒させていただいた松本ヒデオさんに「先生の作品を何かほしいと思いますよね」と話したら、「自分もほしいと思うけど、先生が知ったら、そんなもの買わずに土でも買えと怒られるだろうなあ」と、お互い納得したことを思い出す。先生の他界後、ある出版社から先生との思い出の原稿をという依頼があり、その話も文章に加えた。出版後、先生のお嬢様と、その話になり、「父は土を買えとは言わないと思うけど、もし言うとすると、そのお金で美味しいものでも食べなさいとは言うかも」との話であった。
土も買わず、美味しいものも食べず、先生の作品を買ってしまいました。申し訳ございません。合掌。

(文:14代今泉今右衛門)