2009年12月
色鍋島万年青文高台皿 色鍋島今右衛門技術保存会作
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3~4年前になるが、ある方から自分の記念として、作品の絵皿を造ってほしいとの依頼があった。「何かお好きなお花はありますか」と聞くと、「実は若々しい感じの万年青がすきなんです」との返事であった。
「万年青」は今右衛門のモチーフとしては12代の頃から登場するが、自分の作品には取り入れたことがなく、文様として生かすのは少し難しいかなとひそかに悩んでいた。そして、頭の片隅で悩みを重ねているうちに、万年青の葉の線が墨はじきの白抜きの線に重なり見えてきたことから、葉の線をすべて墨はじきで描き埋め尽くしてみると、今までにない新しい墨はじきの文様が出来上がり、お客様にも大変喜んでいただいた。
これは、そのときの万年青の構図を基に制作した色鍋島今右衛門技術保存会の作品である。
(文:14代今泉今右衛門)