2010年01月
青白磁双魚文盃 八木 明作
10年以上程前に八木さんの個展にて求めた盃であり、私の晩酌に使わせていただく機会が最も多い盃でもある。
この盃を求めたときは八木さんは不在であったが、次の個展で二つ目を求めたときは在廊中であった。「これ、いただいてもいいですか」と聞くと、困ったような顔をされた。同業の方に求められるのは私自身も嫌というか、気がひけるもので、黙って求めれば良かったと後で後悔したものである。しかし、この盃を日々使うなかで、たっぷりとした口造りの素晴らしさに気付かされ、それまで薄ければ良いと思っていた自論が変わるきっかけとなった、私にとっては大切な、そして有難い盃である。
(文:14代今泉今右衛門)