2010年02月
「料理と器 立原正秋の世界」
かつて友人のT氏と知人を招いての「お酒の会」を開いていた頃に、二人とも常に手許に置き読んでいた(見ていた)本である。季節を大切にする編者の父親(立原正秋氏)の心情がしみわたる本であり、当時、事あるごとに目を通し、季節ごとの情景を瞼に浮かべていたものである。
特に「ふきのとう」の項は好きで、、自分でも毎年挑戦した料理である。決まって採りに行く水辺の場所があり、毎年今の時節なのだが、年によって芽を出す時期が異なり、日々の天気、気温を気にし、下見をしたりとこの時期はわくわくする。この項の中で出てくる「ゆでているとき野の香りが(後略)」の一節を、ふきのとうをひと茹でする度に思い出し、春を感じる。毎年「春」を一番初めに感じる瞬間である。
『料理と器 立原正秋の世界』
編者:立原 潮
発行所:株式会社 平凡社
(文:14代今泉今右衛門)