2010年09月
染付風車文皿 鍋島様式 17世紀後期
文様として描かれているものは風車なのか。
現在、東京の六本木のサントリー美術館にて開催中の「誇り高きデザイン 鍋島」展にも同じ文様の高台皿が展示されている。通常、時代を追って展示される場合が多いが、この展覧会では、文様・デザイン・技法にスポットをあてるという、独自の視点から鍋島の魅力をひも解いていくという趣旨である。現代の鍋島を追求する仕事をしている私にとっては興味深く拝見できた。
この高台皿を技法的にみると、白抜きの文様には「墨はじき」の技法が使われているのは確かだと思われるが、背景の薄い青色のところは、薄い呉須汁に漬ける「薄瑠璃」の技法か、薄い濃み(だみ:塗ること)を何回も重ね塗る技法かは定かではない。そのような技法の不思議さよりも文様・デザインに現代を超える斬新さをみることが出来、魅力を感じた。
このように鍋島には、文様のいわれ、デザインの理由、技法など未だ判らない事が多い。今回の「誇り高きデザイン 鍋島」展において様々な発見と、多くの感動が生まれることを心から願うものである。
(文:14代今泉今右衛門)