コラム

2012年01月 青白磁瓜型瓶
青白磁瓜型瓶

最近、私自身忙しさにかまけ、ウェブサイトの連載コラムを勝手に休んでおりましたが、今年から心を入れ替えて、年四回書かせていただこうと思っております。このコーナーの回数は減りますが、今週の作品やお知らせ、色鍋島今右衛門窯のウェブサイトなど、他の内容を充実させていこうと思っておりますので変わらぬご厚情を宜しくお願いいたします。

京都・鈴木治先生に師事していた頃、轆轤の練習として形を制作し、先生のところで釉薬を掛けてもらい、窯で焼成してもらった瓶である。修行の最初、「轆轤をしてみるか」と言われ、緊張のあまり「はい」と答えたら、「焼物で何を造るにしろ、轆轤は基本だからしておいたほうがええやろなあ」と言われた。「じゃ、何か興味のある古陶器をひとつ決めなさい」と言われ、数日、いろいろな美術館を見て回り、その中から大阪の東洋陶磁美術館の高麗青磁の瓜型瓶の何ともいえない雰囲気にひかれ決めた。
この昔の瓶に習い、私も口部、胴部、足部と三つに分けて制作し、轆轤でひき終わった時点で凹みなどを造り、半乾きの頃重ねて轆轤にて接合する手順により制作した。先生宅に通っていた一年半のほとんどをその練習に充てていたように思える。この瓶を見ると、その頃を思い出し、なかなかうまくいかず苦労していたことや、先生の轆轤の巧みさや、先生の言葉の一言一言を思い出す記憶の詰まった瓶である。

(文:14代今泉今右衛門)