中国・明末・古染付から影響を受けたと思われる吹墨の技法だが、有田では初期伊万里の頃に多く見られ、初期らしいウブな雰囲気と相俟って、ほのぼのとした皿に仕上がっている。制作の順としては、兎などの形を皿に貼り付け、吹墨を施し、紙をはがし、その後文様を線書きしたものと思われるが、吹墨の道具はどのようなものを用いたか定かでない。十三代今右衛門は、この初期伊万里のウブな雰囲気が特に好きで、吹墨の技法を鍋島の世界へ取り込み、更に薄墨、吹重ねと発展させた。